今回の布陣には大学4年生、公演直前或いは本番中に卒業式を迎える俳優・スタッフが多数参加している。笹倉良太もその一人で、卒業式当日が公演初日に当たる『バカンス』は、彼が出身サークルを卒団して一作目の公演となる。先月演劇ユニットを旗揚げし、卒業後も脚本家・俳優として活動するという彼は、今作への意気込みを嬉々として語ってくれた。

（取材日：2023年3月1日）
（撮影＝高富こん様）
（取材・文＝菅原茉利奈）

《これからは脚本を書いたり、役者をやりたいなと思っています》

――自己紹介をお願いします！

笹倉良太です。今大学4年生で、少し前まで「劇団てあとろ50’」[1]というところにいました。先日、てあとろで同期だった田中陽太と「ワヲン」[2]という団体を旗揚げして、これからは脚本を書いたり、役者をやりたいなと思っています。

――「ワヲン」の旗揚げ公演は笹倉さんご自身も出演されて、元木真珠さん・藤枝拓磨さんとは二ヶ月連続の共演ですね。

そうですね。自分が演出の時はとにかく稽古を回さなきゃというのでなかなか気持ちが休まらなかったりして･･･。今は一緒に稽古ができてめっちゃ心強い。また違った感じで楽しいです！

――将来、脚本をやりたいという気持ちは前からあったのですか？

もともと村上春樹がめっちゃ好きで、小説書くの楽しそうだなというので文構[3]に来て。書くってことに興味はあったんですけど･･･大学から演劇をはじめたもので、演劇の脚本を書くっていうのはなかなか想像できなくて。でも1年前くらいに一本目を書いてみたら、めっちゃ大変だったんですけど、楽しいぞ、書いてみたいぞと。

めっちゃ面白そうだなと思って

――今回の出演のきっかけは？

瀧口さんからの出演オファーっていうのが嬉しかった。で、「所信表明」の内容を聞いてめっちゃ面白そうだなと思って。実際に今、目標以前に稽古がめちゃくちゃ楽しくて笑。こういう部分にも力を入れるっていうのが今まで僕が経験した中ではあまりなかったので、わくわくします。

――私も同じくです！「所信表明」を読んだ時はどう思いましたか？

納得してしまったというか。特にその「お金にする」の部分は、僕も（卒業後も演劇を）続けるにあたって、どうしたら良いんだろうと考えてきたことなので。あれを読んで、こういう方法もあるのかと思いました。

――座組の方からは、主宰が描くロードマップがはっきりしていて、比較的余裕をもって準備が進んでいると聞いていますが･･･笹倉さんはいかがですか？

2月に自分の公演を打ったんですけど、3月末の『バカンス』の顔合わせの方が先だった（笑）。なんかもうなんか、すごいです。スピードがすごくて、追いつかないみたいな（笑）。

シーンを返す以外でも何か一緒にするっていうのも大事だなと思います》

――台本稽古の前に実施した“勉強会”は、私たちの周りでは、新しい取り組みだったと思います。実際に参加してみての感想を聞かせてください。

勉強会では、初めて聞く言葉や今まで考えてこなかったトピックもあったので、色んな人の意見を聞けたのが良かったです。そういう場になると自分が喋るよりも聞いてしまうんですけど(笑)

色んな人の意見を聞けたのは本当に自分の中で大きくて楽しくて。色々考えました。台本稽古に入る前に、共演者の意見を聞けたり話せたりできたという面でも良かったです。

――稽古が始まって約半月が経ちましたが、自身の稽古で苦労していることはありますか？

演技自体というよりは、今回の座組の半分くらいがはじめましての人で。仲良くなりたいなあと思いながら、でも人見知りを発動して僕の方からは話しかけられないんですけど。雑多なコミュニケーションをもっと取りたい、もっと喋りたいなと思っています。

――座組ではアイスブレイクでバトミントンもしていましたね。

めちゃくちゃ楽しかったです。やっぱり稽古外で、まあこのご時世柄難しいけどおしゃべり、とかご飯食べたりとか遊んだりとか、シーンを返す以外でも何か一緒にするっていうのも大事だなと思います。

忙しくてなかなかできないんですけど･･･それに少し寂しい気持ちもありつつ。

ふらっと来て、ぱっと見て考えられるものではないと思います

――ストーリー的には、『バカンス』はどんな人に観てほしいですか？

そうですね･･･大学生、同世代の人に観てほしいなって思います。登場人物や主人公と同世代に当たるので、共感できる部分も多いかと思います。テーマ的にも、同世代の人に観てほしい。

――なるほど！では、宣伝のメッセージをお願いします！

扱ってるテーマは、しっかり向き合わなきゃいけないもので。ふらっと来て、ぱっと見て考えられるものではないと思います。それを観て自分なりに調べてみようってものなので。

一方作品としてはめっちゃポップというか、ストーリーとしても面白いし、誰が観ても楽しい作品になっているんじゃないかと思います。僕自身としても、自分のキャラや作品を魅力的にできるように頑張るので･･･だからこそ多くの人に観てほしい。

観て、何を思ったかを知りたい。まずは、観てほしいです。

[1] 「劇団てあとろ50’」･･･1974年（昭和49年）に創設された早稲田大学公認演劇サークル。通称“てあとろ”。

[2] 「ワヲン」･･･笹倉良太と田中陽太による演劇ユニット。2023年2月、『いつか見た星』(於早稲田大学学生会館 B203)にて旗揚げ。Twitter : @wawon_46

[3] 「文構」･･･早稲田大学文化構想学部の略称。村上春樹氏は文構の前身である「第一文学部」の演劇専修出身である。

■早稲田大学演劇倶楽部企画公演『バカンス』

2023.3.25-27 於早稲田小劇場どらま館

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■笹倉良太　プロフィール
ささくら・りょうた
2000年2月22日生まれ。劇団てあとろ50'出身。ワヲンを旗揚げ。役者もしたいし、脚本も書きたい。
主な脚本作品に、
あかなし×劇団てあとろ50'11月企画公演『英雄』
劇団てあとろ50'新歓公演『ゴールデン・ルーキー』
劇団てあとろ50'×ワヲン旗揚げ公演『いつか見た星』　など。
Twitter : @ryota_0745
Instagram : @ryota_0745

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